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「ドライマウス」を防いで、お口のアンチエイジング

小児科医の本木です。

健康な子どもを育む小児科医としては、家族が健康・健全であってほしいと願います。重要なのは「予防・早期発見・早 期治療」です。これを実践するには、どうしたらよいでしょうか?加齢現象の【最新の知識】を得ることです。第8回目は、口のアンチエイジングについて学び ましょう。

まず、始めに基本の確認です。生活習慣病はなぜ怖いのでしょうか?生活習慣病は無症状です。しかし、10~20年ほっておくと 心筋梗塞・脳卒中・糖尿病・認知症といった命にかかわる病気を引き起こします。【症状がない】ことが、怖いのです。最近、生活習慣病が【老い】と直結して いることが分かってきています。そのため、老いないこと(アンチエイジング)が生活習慣病を予防することにつながります。

さて、人はどこで老いを感じると思いますか?ほとんどの人に共通しているのは【目】と【口】と言われています。そこで、今日は口の生活習慣病に関する話題です。

・口が老化すると、どうなるのでしょうか?

老 化が進むと、口が渇く(口腔乾燥症・ドライマウス)、口が臭くなる、食事の味が分からなくなる(味覚障害)、歯茎が弱って血が出やすくなる歯周病、入れ歯 になる(義歯)と変化していきます。口が老化すると困るのは、味わう、飲む、話すといった人間らしい生きる楽しみが失われていくからです。

口 の中を潤すために唾液が出ていますが、実は唾液は単なる水分ではありません。唾液の中には、神経栄養因子(nerve growth factor:NGF)や上皮成長因子(EGF:epiderrnal growth factor)と呼ばれる成長因子、栄養を分解する生理活性物質、細菌をやっつける免疫物質などが含まれています。

NGFはアルツハイ マー型認知症の機能の改善に働く物質で、EGFは傷を治す物質であることが分かっています。そのため、老化によって唾液が出なくなると、成長因子が減るの で口内炎が治りづらくなったり、生理活性物質が減るので食事がまずくなったり、免疫物質が減るので口が臭くなったりします。

・老化で唾液が出づらくなったら、あきらめるしかないのでしょうか?

口 腔筋機能療法(MFT:Myofunctional Therapy)をすると、唾液の分泌が増えます。もともとは口腔の機能維持のための筋力を増強させるための治療法でしたが、顔貌の老化を防止する効果が あります。顔にある筋肉の約70%は口腔周囲に集中していますが、顔の筋肉のうち普段の生活で使われる筋肉の量は2~3割程度と少ないのです。年とは関係 になく、筋肉は使わなければ衰えてしまうため、若さを保ちたいのであれば【顔の筋トレ】をする必要があります。また、ネズミを用いた実験ですが、老化予防 効果のある【カロリー制限(必要な栄養素はとりつつ、カロリーのみを減らす食事)】をすると唾液量が増えます。

ドライマウスの人の9割が、生活習慣病である糖尿病、高脂血症、動脈硬化、精神的ストレス、食習慣の乱れや筋力の低下などの老化現象を伴っています。一方、治療法からみてもアンチエイジングをすることがドライマウスを予防する上では重要だということが分かります。

●ドライマウスのチェック項目

□ 口の中が渇いたり、ネバつく
□ 乾燥した食品がのみ込みづらい
□ 会話がしづらい
□ 食事のとき、いつも水が必要
□ 虫歯や歯周病になりやすい
□ 口臭が気になる
□ 食事の味が分かりにくい
□ 口紅がよく歯につくなど

ドライマウスで悩む患者さんは現在800万人います。予備軍を含めると3000万人にものぼると言われています。あなたも、乾燥に悩まされているようであれば、一度生活を見直してみてはいかがでしょうか?ひょっとしたら、老化の始まりかもしれません。

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